古代ローマコイン 共和政期 前67年 プラエトリウス・ケスティアヌス(貴族造営官) デナリウス銀貨 キュベレ神肖像 貴族造営官の権威を表すセラ・クルリス

古代ローマコイン 共和政期 前67年 プラエトリウス・ケスティアヌス(貴族造営官) デナリウス銀貨 キュベレ神肖像 貴族造営官の権威を表すセラ・クルリス
古代ローマコイン 共和政期 プラエトリウス・ケスティアヌス デナリウス銀貨

前67年、ローマ発行

オモテ:CESTIANVS (ケスティアヌス)
右向きの城壁冠をかぶったキュベレ神(大地母神)の肖像 キュベレの顔の前には球

ウラ:M PLAETORIVS AED CVR EX SC (Marcus Plaetorius Aedilis Curulis ex Senatus Consulto マルクス プラエトリウス アエディリス・クルリス(貴族造営官) 元老院の承認により)
貴族造営官の椅子 椅子の上に球 椅子の左にはサソリ(貨幣発行管理マーク)

サイズ:3,93g 19mm

貨幣発行人:貴族造営官、マルクス・プラエトリウス・セスティアヌス

アエディリス・クルリス(貴族造営官)、プラエトリウス・セスティアヌスが発行したキュベレ神が表されたデナリウス銀貨。このコインはキュベレ神の祭、メガレシア祭と関連すると考えられている。


キュベレ神
フリギュア由来の女神。大地母神。
ローマでのキュベレ神の信仰は第2次ポエニ戦争時に始まった。
前204年、ハンニバルと戦っていたローマ軍にペストが流行し不吉な前兆が続いていた。
ローマ人たちは「シビュレの書」にローマが勝ちたければ、ローマに大地母神を連れてこなければならないと書かれていたことにより、ローマに新たな女神を迎えることを決意した。
そしてデルフォイのアポロン神託に伺いを立てると、フリギュアのペッシヌスに行けば女神が見つかるとの予言を下された。
ローマ人は、ペッシヌスでキュベレ神の化身であると信じられた黒い石(隕石)を受け取り、船に載せて持ち帰った。
これにより、ローマはハンニバルに勝利し、キュベレ神はマグナ・マテル(大地母神)としてローマの主要な女神となった。
ローマでは毎年4月初めに、キュベレ神の祭、メガレシア祭が盛大に開かれた。



 キュベレに捧げ物をする神官(ガッライ) 3世紀頃 オスティア博物館
キュベレ神に仕えたのは去勢されたガッライと呼ばれた神官たちであった


sella curulis (セラ・クルリス 高官用の椅子)


コインウラ面にはセラ・クルリスと呼ばれた椅子が表されている。
セラ・クルリスはローマの高官の権威の象徴であり、よくコインに表された。
このコインの場合はAED CVR(Aedilis Curulis 貴族造営官)の銘も刻まれており、このセラ・クルリスはこのコインを発行した貴族造営官の権威を示している。
造営官はローマの祭典の運営も担った。
このコインは、貴族造営官によって取り仕切られたキュベレ神の祭、メガレシア祭と関連して発行されたと推測される。
コイン発行時の歴史背景は、下の「コインで見る、古代ローマ史年表」をクリックしてご覧ください。





コイン解説、写真撮影者:中村めぐみ