古代ケルトコイン ガリア・ウォルカエ・テクトサゲース族 (現フランス都市トゥールーズ) 前1世紀 ドラクマ銀貨 キュビズムの肖像のコイン 古代ケルト芸術

古代ケルトコイン ガリア ウォルカエ・テクトサゲース族 ドラクマ銀貨

前1世紀発行

オモテ:左向きの肖像

ウラ:十字文様

サイズ:2,40g 15mm

このコインはフランスではキュビズムの肖像のコインと呼ばれる。
ピカソの描くような肖像がウォルカエ・テクトサゲース族のコインの特徴である。

さらにこの地域のコインの特徴は四角いことである。
図像が打たれる前の銀貨は丸い型に銀が流され、打刻前のコインが作られるのが古代地中海世界では一般的であったが、このウォルカエ・テクトサゲース族の銀貨は銀の延べ棒を切ってから打刻していったと推測される。


(ウォルカエ・テクトサゲース族)
現フランス、トゥ―ルーズ周辺に居住していたケルト人。
前279年にデルフォイのアポロンの聖域を略奪したガラティア人と同族で、彼らがガリアに移住してきたと考えられている。
ウォルカエ族が略奪したアポロン聖域の財宝は、後に古代ローマの有名なトローサの金(aurum Tolosanum)事件を巻き起こした。

前106年のコンスルを務め、翌前105年、プロコンスルとしてガリア・キサルピナ総督となったクィントゥス・セルウィリウス・カエピオは、ガリア・キサルピナへ軍を進めた。
この時、セルウィリウス・カエピオはウォルカエ族の都市トローサ(現トゥールーズ)で大量の金・銀の財宝を発見した。
これはかつてウォルカエ族がアポロンの聖域から略奪したものであると信じれられ、金・銀共にローマへと運ばれることとなった。
しかし奇妙なことに輸送の途中、金だけがそっくりなくなってしまったのがトローサの金事件である。
これは、アポロンの呪いであるなどいろいろな噂がされたが、結局セルウィリウス・カエピオ失脚の政治スキャンダルへと発展した。

同年、セルウィリウス・カエピオは、アラウシオの戦い(現オランジュ)の戦いでローマに大敗をもたらしたことから、指揮権を剝奪され元老院からも除名された。
さらに前103年、トローサの金紛失により、戦利品横領罪で告発され有罪となり追放されてしまったのであった。

ちなみに、このセルウィリウス・カエピオは後にカエサルを殺害するブルータスの曾祖父にあたる。

(カエサル『ガリア戦記』中のウォルカエ・テクトサゲース族)
このコインを発行したトゥ―ルーズのウォルカエ・テクトサゲースと同族のゲルマニアに住むウォルカエ・テクトサゲース族についての記述がある。
ウォルカエ・テクトサゲース族はオルキニアの森のふちにあるゲルマニアで最も肥沃な土地を占領し定住し、彼らは正しいことと勇ましいことで名高いとカエサルは述べている。(6巻ー24)
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