幻獣


古代ギリシャ神話に登場する幻獣に関連する作品を集めました。

〜古代神話・伝説の幻獣たち〜

<グリフィン>
前半身が鷲、後半身がライオンの怪物。
ヘロドトスの『歴史』に登場する。
古代ギリシャでは、都市国家テオスとアブデラがグリフィンをシンボルとしてコインに刻んだ。

グリフィンが表されたアブデラの銀貨

またコイン図像ではアテナ神(ミネルウァ神)の兜にグリフィンが飾られることが多い。

左:前125年のローマコイン 右:フォカイアの金貨

<ケルベロス>
冥府の神ハデスの番犬。ヘシオドスの『神統記』では50の頭を持つと語れたが、美術では3つの頭を持つ姿で表されることが多い。
ヘラクレスの12の難行の最後は、ケルベロスを冥界から地上へ連れてくることであった。ヘラクレスがケルベロスに日の光を浴びせると、ケルベロスは慄き太陽に向って吠え、その時出た唾液からトリカブトが生まれた。

ケルベロスが表されたローマコイン

<キマイラ>
ライオンの頭、ヤギの胴体、蛇の尾を持つ怪物。口から炎を吐くのが特徴。ホメロスの『イーリアス』に登場する。
ペガサスを操る英雄ベレロポーンに退治される。

キマイラが表されたシキオンの銀貨

<スフィンクス>
頭は人間で胴体はライオンの怪物。
スフィンクスは人々に謎をかけ、答えられないものを食べてしまうという怪物であった。
オイディプスに対しての謎かけ、「朝は4本脚、昼は2本脚、夜は3本脚で歩くのは何か」が有名。
オイディプスはこれを人間と答え、謎を解いたため、スフィンクスは崖から身を投げ死んだ。

アンドロスフィンクス(ヘロドトスはギリシアの乳房と鳥の翼がついたスフィンクスと区別するため、エジプトの遺跡のスフィンクスをアンドロスフィンクス(人間スフィンクスの意)と呼んだ)が表されたローマコイン

<ヒュドラ>
ヒュドラはアルゴス地方のレルネの沼に住んでいた水蛇の怪物。ヘラクレスの12の難行の2番目の仕事は、ヒュドラ退治であった。
頭がたくさん生えているのが特徴で、ヘラクレスが何度、首を落としても、再び首が生えてくるため、ヘラクレスは甥のイオラオスの助けをかりた。
イオラオスが松明を使ってヒュドラの首の付け根を燃やし続け、新しい首が生えてこないようにしているうちに、ヘラクレスは残った首を切り落とし、見事ヒュドラを退治した。
ヘラクレスはこのヒュドラの胆汁から出る毒を、矢に塗って度々使用した。(後にこのヒュドラの毒がヘラクレスを破滅へと導く)
また、このヒュドラ退治の際、ヘラクレスの邪魔をするヘラは、大きな蟹の怪物を送って、ヘラクレスの気を散らそうとしたが、ヘラクレスはこの蟹を足で踏みつぶして殺した。
ヘラはこの蟹を天に上げ、これが星座のかに座となった。

ヒュドラ退治が表されたコイン(左:クレタ島ファイストスの銀貨 右:ローマ帝政期マクリヌスの銅貨)

<ペガサス>
有翼の馬、メドゥーサとポセイドンの子。
メドゥーサがペルセウスに首を斬られた時にその傷口から誕生した。
英雄ベレロポーンに使え、キマイラを退治した。
ベレロポーンはペガサスに乗って昇天しようとしたため、ゼウスの怒りを勝って、ゼウスの雷に打たれ地上に転落した。ペガサスのみが天に昇り、ペガサス座となった。

コリントスのペガサスのコイン

<ヒッポカムポス>
前半分は馬、後ろ半分は魚。海馬と呼ばれる。
海神ポセイドンに付随する動物でもある。

左:シラクサのヒッポカムポスのコイン 右:オスティアのヒッポカムポスのモザイク

<フェニックス>
古代エジプトの太陽崇拝と関連する伝説上の霊鳥。
永遠、再生、太陽のシンボル。
古代では放射状光背を持った姿であらわされた。
この鳥はわしと同じ大きさで羽は燃えるような赤と金色で、美しい声で鳴き、500年以上生きるが、一度に一羽のみ生存する。寿命が尽きる頃、香木や香料で巣を作り、その中にこもって火をつけて焼け死ぬが、その灰の中から新しい若鳥が生まれ、没薬の卵に父の遺灰を入れてエジプトのヘリオポリスに飛び、太陽神殿の祭壇に安置するという。

ギリシャ語で永遠を意味するAIωNの銘と不死鳥フェニックスが表されたアントニヌス・ピウスのコイン

<ケンタウロス>
上半身が人間で、腰から下が馬の種族。テッサリア王イクシオンとゼウスがヘラの姿に似せた雲が交わって生まれたと云う。
ケンタウロスが放埓であるというイメージは、結婚式の席で酒に酔ったことから、ラピタイ族と戦闘になったエピソードに因る。
しかしケンタウロスの中には賢者もおり、特にケイロンが有名である。
ケイロンはイアソンやアキレウスなどを教育して彼らに知恵を授けた。
ケイロンはヘラクレスがケンタウロスたちと戦った時に、ヘラクレスの毒矢にあたって不治の傷を負った。
ケイロンは神クロノスの子供であり不死の身であったが、この毒矢の苦しみから逃れるために不死を放棄してハデスの元にいった。
しかし後にゼウスのはからいで天に昇り、いて座となった。


<ケートス>
ギリシャ語で海の怪物を意味する。形態についての言い伝えは様々である。
ケートスはアンドロメダを救出する神話に登場する。
ある時、パレスティナの王妃カッシオペイアは娘のアンドロメダは海神ネレウスの娘たちネレイスよりも美しいと自慢した。
これに怒ったネレイスがポセイドンに訴えたために、アンドロメダは海の怪物ケートスに生贄として捧げられることとなり、荒れ狂う海に面した岩山に鎖で繋がれた。
怪物がアンドロメダに襲い掛かろうとしたとき、ちょうどメドゥーサ退治を終えたペルセウスが通りかかった。
アンドロメダに恋したペルセウスは、メドゥーサの首を怪物に見せ怪物を石に変え、アンドロメダを救出し、夫婦となった。
アンドロメダは死後、アテナ神によって天空に迎えられ星座となった

ケートスとアンドロメダの版画

<スキュラ>
メッサーナ海峡に出没した怪物。
スキュラは元々は美しい娘で多くの者が彼女に求婚した。
ある日、海神グラウコス(海神ポセイドンの息子)はスキュラに一目ぼれし、魔女のキルケに惚れ薬をもらおうとした。
しかし魔女キルケがグラウコスに惚れてしまい、グラウコスがこれを拒絶すると、キルケは怒ってスキュラを怪物に変えてしまった。
スキュラは3重の歯が生えた口を持つ6つの頭と12本の足を持つ姿となってしまった。一説ではスキュラの腰からは犬の頭が生えており、その犬が吠えて餌食を求めたという。
スキュラはメッサーナ海峡の渦巻カリュブディスの洞窟に住み船乗りを襲い船を難破させた。

スキュラが表されたセクストゥス・ポンペイウスのコイン

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