古代ローマコイン 帝政期 コンモドゥス アス銅貨 192年 ヘラクレスに扮したコンモドゥスのコイン

古代ローマコイン 帝政期 コンモドゥス アス銅貨 192年 ヘラクレスに扮したコンモドゥスのコイン
古代ローマコイン 帝政期 コンモドゥス アス銅貨 

192年、ローマ発行

オモテ:L AEL AVREL COMM AVG P FEL(Lucius Aelius Aurelius Commodus Augustus Pius Felix ルキウス・アエりウス・アウレリウス・コンモドゥス アウグストゥス 敬虔で幸福な)
ヘラクレスに扮したコンモドゥスの肖像

ウラ:HERCVL ROMAN AVGV SC(Herculo Romano Augusto Senatvs Consvlto ヘラクレスのローマのアウグストゥスの 元老院の決議により) オリーブの葉の冠 ヘラクレスの棍棒

サイズ:10,28g 24mm

このアス銅貨はコンモドゥス最期の年192年に発行されたと推定されており、ヘラクレスに扮するコンモドゥスの肖像が刻まれている。肖像の眼差しにはコンモドゥスの狂気が潜んでいるかのようである。
191年ローマの大火災で都市の大部分が被害を受けた。これによりコンモドゥスは自身が第二のローマ建設者になる機会だとし、ローマの都市名をコロニア・コンモディナ(コンモドゥス市)に改名した。
192年11月に開かれた見世物では皇帝コンモドゥスはヘラクレスに扮した姿で闘技場に登場し、自ら剣闘士として戦ったという。それから1ヶ月程後の、12月31日にコンモドゥスは暗殺された。


<コンモドゥス>
ローマ皇帝(在位177-192年)。マルクス・アウレリウス帝の息子で、自ら剣闘士として戦ったりと狂気の皇帝として有名。
177年共治帝となり、父マルクス・アウレリウスとともにドナウ川に侵攻しゲルマン人と対戦。
190年に父帝が死去すると単独統治帝となった。
政治は寵臣にまかせ、気まぐれで逸楽にふけったとされる。
ローマをコロニア・コンモディナ(コンモドゥス市)と改称し、自らをヘラクレス神とし、勇気を示すために剣闘士(グラディアトル)として戦った。
剣闘士は古代ローマでは奴隷身分で、皇帝が剣闘士として戦うことは異常であった。
コンモドゥスは剣闘士の服装で執政官(コンスル)に就任すると宣言して民衆を激高させた。
192年愛人マルキアらの陰謀により絞殺された。

左:ローマ・カピトリーニ美術館のヘラクレスに扮するコンモドゥス像 右:コインオモテ面のヘラクレスに扮するコンモドゥスの肖像

ヘラクレスが被っている獅子の毛皮はヘラクレスの12の難業の中の1つ、ネメアーの獅子退治で退治した獅子の毛皮。

<ネメアーの獅子退治>
ヘラクレスの12の難業の1番目がネメアーの獅子退治であった。
ネメアーの獅子はエキドナと猛犬オルトロスとの母子姦から生まれた怪獣。
ヘラに育てられてネメアーの森に住まわされ、猛威をふるっていた。
ヘラクレスは刃物の通らぬこの獣の首を絞め、窒息させて皮をはぎ、エウリュステウスのところに持帰って見せた。この皮は以後ヘラクレスの衣服の代りになり、ライオンは天に上げられて獅子座になったとされる。

ネメアーの獅子退治が刻まれたパエオニアのテトラドラクマ銀貨(前359-前340年発行)

<棍棒>
棍棒は木製または鉄製の武器で力のシンボルでヘラクレスの象徴でもある。
上写真のローマ・カピトリーニ美術館のヘラクレスに扮するコンモドゥス像の右手にも棍棒が確認できる。

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コイン解説、写真撮影者:中村めぐみ