古代ギリシャコイン マケドニア王国 フィリッポス2世 4分の一スタテル金貨 前359-前336年 アレクサンダー大王の父フィリッポス2世の金貨

古代ギリシャコイン マケドニア王国 フィリッポス2世 4分の一スタテル金貨 前359-前336年 アレクサンダー大王の父フィリッポス2世の金貨
古代ギリシャコイン マケドニア王国 フィリッポス2世 4分の一スタテル金貨

前359-336年、ペラ発行

オモテ:右向きのヘラクレスの肖像

ウラ:FILIPPOU 弓、棍棒、三つ又

サイズ:2,12g 11mm

アレクサンダー大王の父、フィリッポス2世の4分の一スタテル金貨。
フィリッポス2世の時代のマケドニアの貨幣発行所はペラとアンフィポリスであった。この金貨の発行所はペラと推定されている。
オモテ面のネメアーの獅子の皮を被ったヘラクレスの肖像が凛々しく美しい。ウラ面にはフィリッポスの文字が刻まれている。

マケドニア、ペラ位置

<マケドニア王国>
ギリシア北方に位置した古代の王国。その領域範囲はときにより変動があったが、常にギリシア北方の平原がその中心であった。
この地は新石器時代初期から定着が始まり、青銅器時代には統一文化を形成した。
前1150年頃北方民族の侵入を受け、また南西マケドニアからはドーリス人が到来、これがのちのマケドニア人の中核となったらしい。
前700年頃からみずからをマケドニア人と称する人々が次第に南東部へと進出し、前640年頃には記録に残る最初のマケドニア王ペルディッカス1世のもとでマケドニア平原を占拠。
ペルシア戦争ではアケメネス朝ペルシア側に立ったがアルケラオス王は親ギリシア政策をとり、また王国んお軍備を強化した。彼の暗殺後内乱状態が続いたが、前359年に即位したフィリッポス2世が国内を統一し、国力を強大化し、ギリシア諸都市をその指導下においた。その子アレクサンドロス3世(大王)はペルシア帝国を倒し、さらにインダス川まで東征し大帝国を建設、ギリシア文化を流布させた。
その死後40年間、後継者(ディアドコイ)と呼ばれるマケドニアの将軍たちの抗争が続き、その結果王国は分割され、アンティゴノス2世がマケドニア王となり(前276年)、以後この王家がマケドニアを支配した。
フィリッポス5世やその子ペルセウスは次第に強大化するローマと4度戦争を行い、前168年ピュドナの戦いで決定的な敗北をこうむり、前146年ローマの属州となった。

<フィリッポス2世>
誕生前382年、死没前336年。
マケドニア王(在位前359-336年)。アレクサンダー大王の父。
マケドニア強大化の基礎を築いた。兄ペルディッカス3世がイリュリア人の侵入で倒れたため、幼王の摂政となり、この危機を切り抜けた。
軍事的成功を次々と収め、前359年王に選出された。ギリシア文化を好み、マケドニアの都市化と通商の促進に努め、経済力を高めた。またマケドニアの内部的統一を行い、騎兵隊の増強と常設化、サリッサと呼ばれる長槍をもつ重装歩兵の陣形の改良、地方単位の軍編制の採用などによって軍事力の増強をはかった。次いでトラキア、カルキディケ、テッサリアなどを併合。
外交的手腕にも優れ、神聖戦争に介入して戦争を終結させ、アンフィクチオニア(隣保同盟)の実権を握った。
前340年アテネ側の宣戦布告で戦いが始まり、デモステネスの働きと自己保身によりアテネ側についたテーベとアテネの連合軍をカイロネイアの戦いで破り、ギリシアでの覇権を確立(前338年)。テーベには守備隊をおいたが、対アケメネス朝のペルシア戦争の際アテネ海軍が必要なことを考慮しアテネには干渉しなかった。
前337年にギリシアの平和の維持と永続化を目的にコリント連盟を組織し、スパルタを除く全ギリシア諸市を従わせ、彼を盟主とすることを認めさせた。同盟市の代表で構成される会議を設け、平和を脅かす行為への対応策を協議させ、それを盟主としてのフィリッポスが遂行するという体制を築き上げ、同盟市は盟主の要求で軍隊と船舶を提供することを義務付けられた。
前337年同盟会議においてペルシア討伐のための遠征を決定させ、翌前336年マケドニアの先発隊が小アジアへ渡った。
フィリッポスもただちに大軍を伴って、ギリシア軍とともに小アジアへ渡ることになっていたが、寵臣の私怨により暗殺された。
1972年ギリシアのヴェルギナでフィリッポス2世墓が発見され、貴重な発掘品が多数出土した。

フィリッポス2世の墓

<ヘラクレス>
ギリシャ神話の英雄。ゼウスがアルクメネと彼女の夫アンフィトリュオンの留守中にその姿をかりて交わってもうけた子。
ゼウスからミケーネの王位につく運命を与えられるはずであったが、ヘラに妨害され、彼に代わってその運命を得たエウリュステウスに家臣として仕えなければならなくされた。そのうえヘラは、赤子のヘラクレスの揺り篭に2匹の蛇を送って彼を亡き者にしようとしたが、ヘラクレスは平然とそれを両手でつかみ、絞殺したという。
まず生まれ故郷のテーベで数々の手柄を立て、クレオン王の娘メガラを妻に与えられたが、ヘラに送られた狂気に取りつかれて、彼女の産んだ子供たちを皆殺しにしてしまい、その罪を清めるため、エウリュステウスの命じる12の難業を果さなければならないことになった。
一番目の難業がネメアーの獅子退治であった。

ヘラクレスに扮するローマ皇帝コンモドゥスの像

コインオモテ面のヘラクレスは成し遂げた難業の1つ、ネメアー獅子退治の獅子の皮を被った姿で表されている。

弓と棍棒はヘラクレスの象徴。棍棒の下にはフィリッポスの文字。一番下は三つ又の矛でポセイドンの象徴。
コイン発行時の歴史背景は、下の「コインで見る、古代ローマ史年表」をクリックしてご覧ください。





コイン解説、写真撮影者:中村めぐみ