古代ケルトコイン ガリア・アンビアーニ族 (現フランス都市アミアンの語源) 前2世紀 スタテル金貨 冠と髪の毛が様式化した肖像 馬 古代ケルト芸術

古代ケルトコイン ガリア・アンビアーニ族 (現フランス都市アミアンの語源) 前2世紀 スタテル金貨 冠と髪の毛が様式化した肖像 馬 古代ケルト芸術
古代ケルトコイン  ガリア アンビアーニ族 スタテル金貨

前2世紀発行

オモテ:左向きの肖像

ウラ:馬と御者

サイズ:7,67g 23mm

アンビアーニ族 Ambiani はガリア・ベルガエ、現在のフランス北部、ピカルディー地方、ソンム県に居住していたケルト人である。
ソンム県の県庁所在地アミアン(Amiens)はアンビアーニ族に由来する。
「アンビアーニ」はガリア語で「両側に住む者」を意味する。両側とは、ピカルデイ地方を通って、イギリス海峡へと注ぐ、ソンム川の両岸を意味すると推測されている。

アンビアーニ族は古代ケルトコイン史上特筆される、この素晴らしい金貨を発行した。
この金貨は、ケルト人がマケドニアの金貨の模倣から脱して、コイン意匠に独創性を見出した作品である。
ケルト人のコインの原型となった下のマケドニアの金貨とこの金貨の意匠を見比べてほしい。
アンビアーニ族が、非常に豊かな想像力を持った人々であったことがわかる。

マケドニア、フィリッポス2世の金貨




右のデッサンはラ・トゥール著『ガリアコイン図表』(1892年)より

オモテ面肖像は、顔の部分が左端にあり、その大きさは額面全体の5分の1程である。
額面の大部分は髪の毛と冠を様式化した意匠に使われている。
髪の房は波文様のように表され、月桂冠を原型にしていると推測されている冠は縄を編んだかのようである。
さらに額の上の前髪は三日月を3つ並べて表現している。
後頭部からは太陽光線のような線模様が幾本も射している。


右のデッサンはラ・トゥール著『ガリアコイン図表』(1892年)より

ウラ面には胴体が簡素な曲線で表現された馬が中央に表されている。
馬に乗る御者の顔と胴体は楕円、手足は球で表されている。
さらに馬の前には三角、胴体の下には8個の球で作られた文様などで額面の余白が埋められている。


<カエサル『ガリア戦記』の中のアンビアーニ族に関する記述>
・前57年、カエサル率いるローマ軍とベルガエ人の戦いの際に、アンビアーニ族は1万の兵士を保持していた。
・前52年のウェルキンゲトリクス率いるアレシアの決戦にアンビアーニ族は5000人の兵士を送った。

コイン発行時の歴史背景は、下の「コインで見る、古代ローマ史年表」をクリックしてご覧ください。





コイン解説、写真撮影者:中村めぐみ