古代ギリシャコイン カリア地方ミラース 前395-前377年 テトラドラクマ銀貨  サトラップ、ヘカトムノスのコイン

古代ギリシャコイン カリア地方ミラース 前395-前377年 テトラドラクマ銀貨  サトラップ、ヘカトムノスのコイン
古代ギリシャコイン カリア地方 ヘカトムノス テトラドラクマ銀貨

前395-前377年、カリア地方ミラース発行

オモテ:ゼウス・ラブランデウスの右向きの立像 キトン(麻・毛織物などの緩い肌着)とヒマティオン(大きな外衣)を着ている。右手にはラブリュス(両刀斧)、左手には槍を持っている。

ウラ:EKATOMNW(ヘカトムノス) 右向きのライオン

サイズ:14,46g 25mm

カリアのサトラップ(太守)、ヘカトムノスの名が刻まれたテトラドラクマ銀貨。
オモテ面にはカリアで信仰されていたゼウス・ラブランデウスが刻まれている。

カリア地方ミラース位置

<カリア>
小アジア南西部の古代地方名。その領域はエーゲ海沿岸のギリシア諸都市、北はリディアと接した山岳地帯、東はフリギアとリディアに接していた。
前546年頃支配権はリディアからペルシアに移り、西カリアの支配者はアケメネス朝ペルシアの王ダレイオス1世に反抗し、また沿岸諸都市はのちにデロス同盟に加わったが、前4世紀の初め頃ペルシア帝国の一属州となった。
ヘレニズム時代にはセレウコス朝シリアが支配し、ローマ時代には属州アシアに含まれた。

<サトラップ>
アケメネス朝ペルシアの州総督クシャトラパバンのギリシャ語の呼び名。日本語では太守、長官などで訳される。
キュロス2世(在位前559-530年)は領土をいくつかの州(サトラピ)に分け、その長官に軍事、行政、微税、司法の権限を与えた。この制度はダレイオス1世(在位前522-486年)の時に確立した。

<ヘカトムノス>
アケメネス朝ペルシア、アルタクセルクセス2世王(在位前404-358年)の時のカリア地方のカリア出身のサトラップ(在位前395-377年)。
ヘカトムノスはアケメネス朝ペルシアに支配を受けながら、初めてカリア人としてカリアのサトラップとなった人物。ヘカトムノスの彼の息子たちの治世はヘカトムノス朝と呼ばれる。
ヘカトムノスはカリアのミラーサを治めていた王ヒサルドムスの息子であり、前のサトラップ、ティッサフェルネス(ペルシア人)の補佐的な役割を担っていたと思われる。
その後前395年にはサトラップとなり、前390年にはペルシア軍の軍船を指揮し小キュロスと戦った。

ヘカトムノスの息子マウソロスは首都をミラースからハリカルナッソスに移し、そこに彼と妻アルテミシアの霊廟を建てたこ。その霊廟はマウソロスの霊廟として知られ、世界の七不思議の一つに数えられた。

<ゼウス・ラブランデウス>

右肩にラブリュスを担いだゼウス

ラブリュス

カリアでは聖地ラブラウンダ(聖なるラブリュス(両刀斧)の地)でゼウス・ラブランデウス信仰が行われた。
カリアでのゼウス・ラブランデウス信仰は下記の神話に由来する。
ヒッポリュテーを殺害した際、ヘラクレスは彼女の斧を腕ごと切り落とし、それをオムパレーに与えた。オムパレーの後を継いだリディアの王はこの斧を執務室の神聖な記章の1つとして代々受け継ぎ、カンダウレスまで継承した。しかしカンダウレスはこの斧が気に入らず、部下の1人に与えてしまった。ギュゲスが反乱を起こしてカンダウレスと戦争状態になったとき、ミラーサのアルセリスがギュゲスを助けるため一軍を率いてやってきた。そしてカンダウレスとその仲間を倒すと、アルセリスはあの斧を他の戦利品と共にカリアに持ち帰った。そしてゼウスの像を作り、その斧を像の手に持たせ、これをラブランデスと呼んだ。labrys はリディア語で「斧」を意味する。

<ライオン>


百獣の王と呼ばれるライオンは、その強さ、品格から勇気、威厳、武勇の象徴として、小アジアでは王のシンボルによく使われた。
世界で最初の打刻コインであるリディアの金貨にもライオンの横顔が刻まれている。

リディアの金貨

古代ギリシャ、ローマでは抑えがたい自然の力のシンボルとして豊穣や性愛と結び付けられ、キュベレ、ディオニソス、アフロディーテとともに表されることも多かった。
コイン発行時の歴史背景は、下の「コインで見る、古代ローマ史年表」をクリックしてご覧ください。





コイン詳細、掲載写真撮影:中村めぐみ