古代ローマコイン 共和政期 グナエウス・コルネリウス・ブラシオ 前112-前111年 デナリウス銀貨 スキピオ・アフリカヌスに似せたマルス神肖像 ユグルタ戦争勃発の年のコイン

古代ローマコイン 共和政期 グナエウス・コルネリウス・ブラシオ 前112-前111年 デナリウス銀貨 スキピオ・アフリカヌスに似せたマルス神肖像 ユグルタ戦争勃発の年のコイン
古代ローマコイン 共和政期 グナエウス・コルネリウス・ブラシオ デナリウス銀貨

前112-前111年、ローマ発行

オモテ:BLASIO CNF (Blasio Cneii Filius ブラシオ クネイウスの息子)
右向きのマルス神 羽飾りの付いたコリント式兜をかぶっている。 後ろにはカデゥケウス(メルクリウスの杖) 頭上にはXVI(16アス アスは貨幣単位)を表すモノグラム

ウラ:ROMA (ローマ)
カピトリヌスの三神 中央がユピテル 右がミネルウァ 左がユノ ユピテルは裸で右手には笏、左手には雷を持っている。 ユノは右手に杖、左手に盾を持っている。 ミネルウァは右手でユピテルの頭に月桂冠を載せている。

サイズ:3,62g 18mm

貨幣発行者:グナエウス・コルネリウス・ブラシオ


このコインが発行された前112年、北アフリカのヌミディア王ユグルタとのユグルタ戦争が勃発した。
前112年、ユグルタはいとこが支配していたヌミディア東部の首都キルタにいたローマ商人を虐殺したことから、ローマと戦争になった。
ユグルタ戦争は前105年、マリウスによって終結した。
このコインが発行された前111年のコンスル(執政官)はスキピオ・ナシカが務めた。
前111年執政官スキピオ・ナシカは、スキピオ・アフリカヌスの曾孫にあたる。
それ故、このデナリウス銀貨の肖像のマルス神はスキピオ・アフリカヌスに似せて表されたともかんがえら考えられている。


<マルス神>
マルス神は古代ローマの軍神。ローマ建国神話の初代王ロムルスとその双子の兄弟レムスはマルスがウェスタの巫女レア・シルウィアと交わってもうけた子であったとされている。
髭を生やしていたり、生やしていない、若い男性が軍装した姿で現される。


このコインの肖像は美化された若者の顔立ちではなく、リアルな人間の顔だちをしている。
顔の特徴はスキピオ・アフリカヌスの肖像と類似しているとの意見もある。

スキピオのブロンズ像 前1世紀頃
<スキピオ・アフリカヌス>(前236年誕生-前184年死没)
古代ローマの政治家、軍人。大スキピオとも呼ばれる。第2次ポエニ戦争のときの名将。
前202年ザマの戦いでハンニバルを破り、第2次ポエニ戦争を終結させ、アフリカヌスの別名を得た。


コインの肖像と前1世紀頃につくられたスキピオのブロンズ像を比較すると、目、鼻、口、顎、耳がよく似ているのがわかる。

<カピトリヌスの三神>
ローマ、カピトリーノの丘にはユピテル神殿があり、神殿には三柱一組の国家神、ユピテル神、ユノ神、ミネルウァ神が祀られていた。



カピトリーノの丘のユピテル神殿が刻まれたデナリウス銀貨
三神を祀るために3つの内陣があるのがコインの図像からわかる。
コイン発行時の歴史背景は、下の「コインで見る、古代ローマ史年表」をクリックしてご覧ください。





写真撮影者:中村めぐみ