古代ローマコイン 共和政期 ルキウス・カエキリウス・メッテルス 前128年 デナリウス銀貨 ローマ神 2頭立て戦車と象の頭 カエキリウス・メッテルス家のシンボル、象

古代ローマコイン 共和政期 ルキウス・カエキリウス・メッテルス デナリウス銀貨

前128年、ローマ発行

オモテ:右向きのローマ神の肖像 XVI(16アスの意)を表すモノグラム

ウラ:ROMA (ローマ) 2頭立て戦車を操るパックス神またはユノ神 その下に象の頭

サイズ:3,82g 18mm

2頭立て戦車の下に象の頭が表されたカエキリウス・メッテルスのデナリウス銀貨。
象はカエキリウス・メッテルス家のシンボル。
象のシンボルは、2回コンスルを務めたルキウス・カエキリウス・メッテルス(前290年ー前221年)に由来する。
ルキウス・カエキリウス・メッテルスは、第1次ポエニ戦争中のパノルムスの戦い(前250年)でカルタゴの将軍、ハズドルバルに勝利した。
ルキウス・カエキリウス・メッテルスがカルタゴ軍の象をとらえ、ローマに連れ帰り、凱旋式で市民に披露した。

オモテ面のローマ神肖像の後ろにはXVI(16)を示すモノグラムが刻まれている。これは16アスを意味する。

前141年頃に、デナリウス銀貨1枚の価値は10アスから16アスに変わった。
このデナリウス銀貨の価値の改定は、Lex Flaminia minus solevendi(支払いを減らす、フラミニウス法)によって行われた政策であると考えられている。
Lex Flaminia minus solevendi(支払いを減らす、フラミニウス法)は前223年と前217年の執政官、ガイウス・フラミニウスが定めたフラミニウス法と関連すると推測されているが詳しいことはわかっていない。

しかしLex Flaminia minus solevendi(支払いを減らす、フラミニウス法)が制定されたことは、この時期のローマが財政難に陥っていたことを明らかにしている。
第3次ポエニ戦争、マケドニア戦争といった度重なる戦争による、軍団への支払いによって、ローマ国家は貨幣財源に窮していた。
そこで、ローマ国家は、デナリウス銀貨の価値を10アスから16アスに改定し、デナリウス銀貨の支出を減らし、国庫の銀不足を解消したのである。

また、前160年頃までは大量に作られたアス青銅貨は、前145年頃になると全く作られなくなった。
再びアス青銅貨の発行が開始されるのは前114年頃であった。
これは前140年頃のローマにおいて、軍団への支払いは銀貨が主要であったことを示している。
つまり、デナリウス銀貨の価値上げによって、軍人が受け取れる実際の銀貨の量は減少したのであった。

この時期、度重なる戦争によって、中産階級が没落し、ローマ国家は人的資源不足に陥っていた。
この事実上の給料の引き下げによって、ローマ国家はさらに軍人の確保が難しくなったと推測される。
これらの問題を解決すべく、前133年、ティベリウス・グラッススは農地法改革に乗り出し、市民への土地分配に乗り出したとも推測されている。
古代ローマコイン 共和政期 ルキウス・カエキリウス・メッテルス 前128年 デナリウス銀貨 ローマ神 2頭立て戦車と象の頭 カエキリウス・メッテルス家のシンボル、象