古代ギリシャコイン カラブリア地方タラス スタテル銀貨 前380-前340年発行 古代オリンピックのコイン 下馬競走(アナバテス)

古代ギリシャコイン カラブリア地方タラス スタテル銀貨 前380-前340年発行 古代オリンピックのコイン 下馬競走(アナバテス)
古代ギリシャコイン カラブリア地方タラス スタテル銀貨

約前380-前340年発行

オモテ:盾と槍を持って馬から降りる裸の男性(アナバテス(下馬競技)を行う人)

ウラ:TAPAΣ(taras タラス) イルカにまたがるタラス神 右手には羽飾りのついた兜を持っている その下には波文様

サイズ:7,74g 22mm



イタリア半島カラブリア地方のタラスは最も繁栄したギリシャ都市の1つ。ラテン語ではタラントゥムと呼ばれたため、タラントと表記される場合も多い。
前8世紀にスパルタが建設した植民市。
哲人アルキュタスによって、前4世紀に最盛期を迎えた。
前272年にはローマの支配下に入った。
第2次ポエニ戦争時には、ハンニバルに占領されたが、前209年、再度ローマの支配下となった。

タラスでのコイン発行は前510年頃に開始された。
初期のコインからイルカに乗った少年の意匠が表された。
イルカに乗った少年は神話上の都市の建設者タラスとされる。
タラスはポセイドンの息子である。
タラスは航海の途中、船が難破し海に投げ出されたが、ポセイドンが遣わしたイルカによって助けられた。イルカに乗ったタラスがカラブリア地方の沿岸に辿り着き、都市タラスを建設した。

また、イルカに乗った少年は、古代ギリシャ4大競技会の1つイストミア大会の起源神話にも登場するため、イルカに乗った少年はイストミア大会の象徴とする説もある。
イストミア大会の神話起源はオルコメノス王アタマスの子メリケルテスの死である。
メリケルテスの母レウコテアは、メリケルテスを腕に抱いて海に身を投げ無理心中をした。
メリケルテスの遺体はイルカの背に乗ってコリントスへと運ばれ、コリントス(イストミアを管轄する都市国家)では、メリケルテスの葬礼儀礼としてイストミア大会が開始されたのである。

タラスでは前415年頃から、オモテ面に馬に乗った裸の騎手、ウラ面にイルカに乗った少年が表されたコインが発行されていった。
その図像種類は様々で、100種類以上ものヴァリエーションがある。

このコインのオモテ面の騎手は下馬をする瞬間の姿で表されている。
古代オリンピックには、アナバテスと呼ばれた下馬競技があった。
下馬競走は騎手がコースの最後に下馬して、馬と一緒にゴールまで走った。

下馬する騎手が表されたタラスのコインは非常に希少であると共に、卓越した技術により作成された、古代コイン芸術の最高峰といえる。

古代オリンピックについて詳しくは、下をクリックしてご覧ください。

古代コイン芸術展 古代オリンピック
コイン発行時の歴史背景は、下の「コインで見る、古代ローマ史年表」をクリックしてご覧ください。





コイン解説、写真撮影者:中村めぐみ