古代ローマコイン 共和政期 前146年 デナリウス銀貨  ガイウス・アンテスティウス ディオスクロイの下に子犬が刻まれた珍しいタイプ

古代ローマコイン 共和政期 前146年 デナリウス銀貨  ガイウス・アンテスティウス ディオスクロイの下に子犬が刻まれた珍しいタイプ
古代ローマコイン 共和政期 ガイウス・アンテスティウス デナリウス銀貨

前146年、ローマ発行

貨幣発行人:Caius Antestius(ガイウス・アンテスティウス)

オモテ面:C ANTESTI (ガイウス・アンテスティウス) 有翼の兜を被った、右向きのローマ神の肖像 肖像の顎の下にX(10アス=デナリウスを意味する)

ウラ:ROMA (ローマ) 馬に乗ったディオスクロイ(カストルとポルックス、双子の兄弟) その下に犬

サイズ:4,11g 18mm

ローマ共和政期、前146年発行のデナリウス銀貨。
ローマは前211年頃にデナリウス銀貨の発行をスタートさせた。
ローマ最初のデナリウス銀貨はこのコイン同様にオモテ面にローマ神の肖像、ウラ面にディオスクロイが表された。
このオモテ面にローマ神、ウラ面に馬に乗るディオスクロイのコイン意匠は、前100年頃まで長期的に、デナリウス銀貨の意匠に使われた。

オモテ面の有翼の兜を被った肖像は女神ローマと解釈されるが、定かではない。肖像と共にROMAの文字が刻まれたデナリウス銀貨もあることから、都市ローマを神格化した女神ローマを表していると推測されることが多いが、ディアナ神、ミネルウァ神、ロメというトロイアの女性などの説もある。
肖像の兜は有翼で、さらに頭頂部のギザギザの装飾はグリフィンが付いた兜のデザインを簡略化したものである。

グリフィン装飾が簡略化された兜(当コイン)

グリフィン装飾がリアルな兜のデナリウス銀貨

グリフィン装飾が付いた兜をつけたミネルウァ神の彫像 (ヘルクラネウム出土 ナポリ国立考古学博物館)

肖像の顎の下の文字Xは10を意味し、10アスという貨幣単位を意味している。
1デナリウス銀貨は10アスに相当した。

ウラ面にはディオスクロイ(カストルとポルックス)が刻まれている。
ディオスクロイ(ゼウスの息子たちの意)はゼウス(ユピテル)の双子の息子であるカストルとポルックスを示す。
ディオスクロイは前496年のレギッルス湖の戦い(ローマ軍かラティニウム人に勝利した戦い)で騎兵となってあらわれ、ローマを勝利に導いたとされる。
ローマの守護神として厚く信仰された。

このデナリウス銀貨のディオスクロイの下には珍しいことに子犬が表されている。
この貨幣発行人ガイウス・アンテスティウスのデナリウス銀貨には、しばしば小さな子犬が刻まれた。
犬はディアナ神の聖獣であるゆえディアナ神を表しているとも考えられるし、貨幣発行人にまつわるシンボルの可能性もある。
コイン発行時の歴史背景は、下の「コインで見る、古代ローマ史年表」をクリックしてご覧ください。





コイン詳細、掲載写真撮影:中村めぐみ